ひっそりと[夢の光景]のオマケです。

現夢

「フリオニール!」
聞き慣れた声が意識に入り込む。
わずかな間を挟んで、フリオニールはゆっくりと瞼を押し上げた。
音もなく目の前を光が通り過ぎて。
同じ軌道を心配そうな顔が通る。横向きに写った顔は、声と同じくよく知っているもの。
「……ティーダ?」
「ッス」
ぼんやりとした問いかけに返るのは安堵の表情。
片頬に固い地面の感触があって、自分が横になっていることに気付く。
ティーダが心配そうに見ているだけで騒がないところを見ると、彼がくる前にジェクトは姿を消したらしい。
こっそりと息を吐いて、フリオニールは身を起こした。
安心して眠ったせいか、思ったより回復しているのが分かる。
「心配をかけてすまない」
「ほんとッスよ」
「セシルは?」
一緒に居るだろうと思っていた人物が見当たらないことに首を傾げると、無言で向こうだと示される。
少し離れた場所でパラディン姿のセシルと。
「ライト?」
「探すの手伝ってくれたんだ」
思わず声に出してしまった通り、ウォーリア・オブ・ライトの姿が見えた。
もしかしなくても二度目かとフリオニールは苦笑する。
最初に見付けたのもライトだったらしいよとついでのようにティーダは告げた。
今回は好きではぐれたわけではないのだが、説教とまではいかなくても、小言くらいはもらうだろうか。
「そうか……なら、礼を言わないとだな」
呟いたあとで気付いて、隣にしゃがんでいるティーダに向き直る。
「ティーダも、ありがとう」
「……ッ!」
不意打ちを食らったティーダは、思わず赤面してしまう。
オレは何もしていないと髪をかき回す仕草にフリオニールが笑った。
「心配、してくれただろう?」
にっこりと笑ったフリオニールに、ティーダは頬を膨らませた。
「……なんかずるいッス」
「ずるいものか」
笑えば傷に障る。分かっていても笑わずに居られなかった。
いたた、と洩らしたフリオニールが手を伸ばす。
「ティーダ、手をかしてくれるか?」
「りょーかいっ」
立ち上がりたいのだと察して、ティーダはフリオニールの腕をとった。
彼が立ち上がったのに気付いてセシルとウォーリア・オブ・ライトも振り返る。
ティーダの肩を借りながら近付くと、セシルがおっとりと首を傾げた。
「まだ無理しなくてもいいんだよ?」
「ああ、なんとか。心配かけてすまない」
ありがとう、と二人に対して頭を下げると、気にするなという返事。
「もう少し休めば平気だろう。セシル、ティーダ、あとは頼む」
「了解ッス!」
「わかったよ」
そのまま三人でウォーリア・オブ・ライトを見送って。
苦笑に近い笑みを洩らしたフリオニールは、心の中だけでそっと説教されなかったことに安堵の息を吐いた。

予告していたオマケ品。その後な感じのティ+フリ。 フリオは純情すぎるくらいが可愛いと思うけど、うっかりあてられてティーダも赤面したら可愛いと思う。元々泣き虫で素直な気性だもんな。一部に対してはものすごくひねくれてるけど(笑)

2009/05/16 【DFF】